第152回流体懇話会のお知らせ
金曜日 17 10月 2014 at 4:05 pm下記のように第152回流体懇話会を開催いたします.
日時
平成26年11月26日(水) 15:00-18:00
場所
電気通信大学 東4号館 8階 AV会議室
(学内マップの11番が「東4号館」です)
講演1
化学と流体力学の融合~化学を用いた流体計測と化学を用いた流体制御~
坂上 博隆 (宇宙航空研究開発機構(JAXA) )
講演2
流れ場と電磁場:理論物理の観点から ― NS方程式は超高レイノルズ数の乱流を記述するに十分であろうか?―
神部 勉 (元 東京大学 物理学科 教授)
概要1
化学と流体力学の融合による研究活動を紹介する。ここでは特に機能を持った化学物質に着目し、それを用いた流体計測と流体制御の研究活動について紹介する。前者は発光機能を持つ化学物質を用いることで、試験体表面の圧力、温度分布を時系列で計 測することが可能となっている。これらの計測は発光信号を画像取得する計測法であり、発光信号を得る励起光源、発光物質、画像機器の組み合わせにより、計測対象を時間によって形状変化する物体中でも、温度分布が時系列で計測できるようになってきている。後者は物体表面に塗布・コーティングした化学コーティング自体が流体制御面になることを目標としている。その第一歩として、現在は撥水性の機能を持つ化学物質に着目し、それをコーティングした面で水滴がつきにくくする、着氷しにくくする用途への研究を行っている。
概要2
流体の流れ場と電磁場とには多くの類似性が知られている。両者とも、エネルギーおよび運動量を有する時空の連続場であることから、このことはreasonable である。特に、流体の渦度場は、磁場に類似の場である。
他方、高いレイノルズ数の乱流をNavier-Stokes (NS) 方程式で記述するのに、いくつかの難点があることが知られている。例えば、巨大計算機の地球シミュレータの模擬空間上で台風の自然発生を表現できている。しかしそのためには、乱流粘性その他の経験パラメーターを駆使することを余儀なくされている。乱流の記述にad hoc な経験パラメーターが必要であることは、半世紀以上前から知られていて、現在状況が改善されたという報告は聞かれない。
乱流場がNS 散逸を上回るはるかに高いエネルギー散逸の非平衡系であること、レイノルズ応力に起因する横波を可能にする媒質であること、乱流統計理論のclosure問題、その他の 状況証拠をも考慮するとき、"現在使われている流体方程式系が超高レイノルズ数の乱流を記述するのに十分であろうか?" というstatementを否定し得ない。そのような問題意識で、懇話会の話題として、上に述べた類似性が超高レイノルズ数の乱流の理論に役に立つか否かを考察してみたい。ジュール損失の乱流アナロジーは、粘性損失をはるかに上回る散逸を与える可能性がある。