第158回流体懇話会のお知らせ

金曜日 17 6月 2016 at 12:33 pm

下記のように第158回流体懇話会を開催いたします.


講演題目

ラブルパイル小惑星の衝突に起因する表面進化過程―はやぶさ小惑星探査からの示唆―

講師

巽 瑛理  (東京大学地球惑星科学専攻 特任研究員)

日時

2016年7月22日(金) 16:30-18:00

場所

電気通信大学 東4号館 8階 AV会議室
学内マップの11番が「東4号館」です)

概要

小惑星は太陽系史を通して地球や火星などの地球型天体に物質を輸送してきたと考えられている。小惑星の移動は巨大惑星による撹乱(例えば、Grand-TackモデルやNiceモデル)短期に大量の質量を輸送するものと、太陽からの太陽の熱輻射(Yarkovsky効果)によって定常的に少量の質量を輸送するものに分けられる。後者の作用は特に小さな小惑星ほど影響が大きく、早く軌道が進化することが知られている。一つ一つの衝突規模は小さいが大きな質量輸送を担っていると考えられる。近年の地上望遠鏡や探査機による観測結果から、数10 km以下の小さな小惑星の多くがラブルパイル天体であることが示唆されている。さらに、小惑星の質量進化はクレーター形成に伴う質量損失に大きく影響されることも理論的に示されている。このことから、ラブルパイル小惑星の質量進化は小惑星帯全体の質量損失率および地球への物質輸送効率をコントロールする重要な因子である。はやぶさの探査により高解像度のデータが得られ、表面での物理過程が明らかになってきた。本研究では、クレーター形成実験とはやぶさから得られた多バンドスペクトル画像データから、ラブルパイル小惑星表面の進化について議論する。本研究は今後予定されている、はやぶさ2やOSIRIS-RExにも応用を考えており、小惑星帯進化および地球型惑星環境進化への制約が期待される。


流体懇話会のお知らせへ戻る