三谷 典子 (東京大学地震研究所),阪口 秀(独立行政法人海洋研究開発機構)(第98回流体懇話会のご案内)


                                                     平成16年6月8日

流体懇話会の講演会を下記のように開催いたします。どうぞご参加下さい。

日時:平成16年6月25日(金) 16:30〜18:00

場所:電気通信大学 東4号館 8階 AV会議室


講師:三谷 典子 (東京大学地震研究所)
題目:粗い斜面上での粉粒体の流れにおける密度およびサイズ偏析
概要:
  粗い斜面上を流れるマトリックス粒子の中の異物の運動を2次元離散要素法
で調べた。その結果、マトリックス粒子と密度やサイズの異なる異物は、その
密度に応じてマトリックス粒子中を上昇あるいは下降することがわかった。異
物とマトリックス粒子との密度差が大きく、また、異物のサイズが大きいほど、
上昇および下降速度は増加する。これらの結果は、流動化したマトリックス粒
子から異物が浮力および粘性抵抗を受けていることを示唆する。

  以上の結果は、火山噴火によって生じる、軽石や岩片と無数の細かい灰によっ
て構成される火砕流の堆積構造を研究する上で重要となる。火砕流の堆積構造
の主な特徴の一つに、火山灰をマトリックスとしてその中で軽石が上方に重い
岩片が下方に観測され、またサイズの大きいものほど分離が顕著であることが
挙げられる。このような特徴は、マトリックス粒子の中にサイズの異なる軽い
異物と重い異物を同時に混入させた数値計算によって再現できる。


講師:阪口 秀(独立行政法人海洋研究開発機構、
                固体地球統合フロンティア研究システム)
題目:粉粒体の斜面崩壊と流動に対する重力の影響
概要:
粉粒体からなる斜面が崩壊・流動する問題に対して、重力の影響で崩壊及び流
動の規模がどのように変化するか、3次元のDEMを用いたシミュレーションを
行った。1つの物体が斜面を滑り落ちる問題では、滑り落ちる力と摩擦抵抗力
を支配する重力項はキャンセルアウトするため、重力を変化させても答えは変
わらないはずである(第0近似)。しかし、多数の粒子からなる粉粒体は、崩
壊、流動の際に衝突や飛散を繰り返すことによる複雑なエネルギーの散逸があ
るため、重力項がうまくキャンセルするとは限らず、必ずしも第0近似に従わな
い。シミュレーションの結果によると、ある重力で崩壊流動規模の最小値がある
ことが判った。

このような研究の結果は、微小重力環境下にある惑星や浮力の作用のある海底
などで発生する地滑りなどによる地形変化の解析などに役立てられる。


                                      流体懇話会事務局(電気通信大学)
                                    TEL:0424-43-5438,FAX:0424-88-6371
                                         naoya@miyazaki.mce.uec.ac.jp
                        web: http://www.miyazaki.mce.uec.ac.jp/konwa/
                                             参加費無料・参加登録不要
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流体懇話会のお知らせ

連絡は懇話会事務局(naoya@miyazaki.mce.uec.ac.jp) まで

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