日野 幹雄 (東京工業大学 名誉教授)(第101回流体懇話会のご案内)



		      第101回流体懇話会のご案内
                                                      平成16年10月12日

流体懇話会の講演会を下記のように開催いたします。どうぞご参加下さい。

講師:日野 幹雄 (東京工業大学 名誉教授)

題目:植物と流体力学

日時:平成16年10月20日(水) 16:30〜18:00

場所:電気通信大学 東4号館 8階 AV会議室

概要:
  (1)従来の研究の概観:植物に関する流体力学的研究は、これまで農学や気
     象学関連で行われて来ている。まず初めにこれらの分野で行われてきた
     先人の研究の概略について紹介する。

  (2)植物葉面に分布する気孔の作用(蒸散、光合成、CO2吸収)に関する数値シ
     ミュレーション:葉の表裏面にはミクロン-オーダーの気孔が無数に分布
     している。植物は気孔から物理作用(分子拡散)によりCO2を取り入れ、葉
     細胞で光合成を行い、O2を大気中に放出している。気孔の内壁からは同
     時に水分が蒸発(蒸散)し、潜熱により温度低下が起こる。気孔の開閉は
     葉組織の水分の多寡により膨圧が変化することによる。根−葉−枝等を
     通じての水の輸送は、光合成産物の濃度に依存する浸透圧(Van't Hoff公
     式)により得られる。これらの作用は光合成以外はみな物理的・機械的な
     メカニズムである。

     Navier-Stokes方程式、熱伝導方程式、ガス拡散方程式、光合成式、熱収
     支式を数値的に解いて、気孔内の流れ、大気・葉組織の温度、CO2濃度分
     布、光合成産物のシミュレーションを行った。

  (3)気孔における蒸散・CO2吸収・光合成のConceptual model:上記の作用を
     Conceptual modelで表現し、日中12時間の葉温・潜顕熱・光合成産物の
     変化を示した。また、同モデルにより最近話題となっている「葉っぱの
     昼寝」現象についても説明し得た。

  (4)穂波の乱流構造の数値シミュレーション:植生層にまで拡張したLESと稲
     穂を表現する弾性棒の大変形振動方程式による数値シミュレーションに
     より稲波の発生メカニズム・稲波の乱流構造について述べ、実測との比
     較を行った。

  (5)後楽園庭園の植生環境:ここ数年中央大・理工学部、山田 正 研究室の
     協力を得て、後楽園庭園の微気象環境について実測を重ねている。熱の
     海に浮かぶ緑の小島ともいうべき、同園の効果について述べる。


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