第137回流体懇話会のご案内

流体懇話会のご案内
平成23年6月2日(木)

流体懇話会の講演会を下記のように開催いたします.どうぞご参加下さい.

講演題目

微小血管内の人工赤血球/赤血球動態に関する流体シミュレーション

講師

百武 徹

日時

平成23年6月24日(金) 16:30-18:00

場所

電気通信大学 東4号館 8階 AV会議室

概要

急速な少子高齢化の到来に伴う輸血用血液製剤不足の解消, また現行の血液製剤に対する様々なリスクの軽減を目指し, 現在,赤血球製剤の代替物として,ヘモグロビンをリポソームに封入した カプセル型人工赤血球の開発が進められている. 本発表では,変形する赤血球を含む微小血管内に, このカプセル型人工赤血球を投入した際の酸素循環改善効果について 数値解析を行った例[1],[2]をご紹介する.

解析手法としては流体に対しては格子ボルツマン法を適用, 赤血球に関しては、埋め込み境界法を用いて赤血球の変形を計算した. 赤血球集合に関してカットオフ半径内において赤血球表同士に Morseポテンシャルが働くと考え,赤血球集合現象などの 赤血球の病的な状態を再現した.直径20μmの微小血管を考え, そこに赤血球と人工赤血球の混在した流れを作り, 人工赤血球がどのような挙動を示すのかを調べた.

解析の結果,赤血球の変形に伴う軸集中および血漿層の形成が再現できた. 集合モデルでは赤血球が集合体を形成し,管中心部を流れる様子が見られた. さらに,人工赤血球に置換することにより,血漿層はさらに厚くなり, この血漿層部分に人工赤血球が多く分布するようになった. これは赤血球の軸集中により人工赤血球が管壁へと移動した結果であり, この管内分布の違いが微小血管系における各粒子の流動特性に 大きな影響をもたらすと考えられる.

参考文献

  1. 百武徹,松本健志,"微小血管分岐部内の人工赤血球/赤血球動態に関する流体シミュレーション", 人工血液,Vol.18, No.1 pp. 25-32, 2010.
  2. Toru Hyakutake, Shouko Tominaga, Takeshi Matsumoto and Shinichiro Yanase, "Numerical Study on Flows of Red Blood Cells with Liposome-Encapsulated Hemoglobin at Microvascular Bifurcation", Journal of Biomechanical Engineering-Transactions of the ASME, Vol. 130, Issue 1, 011014, 2008. (Link)
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