第139回流体懇話会のご案内

流体懇話会のご案内
平成23年8月29日(月)

流体懇話会の講演会を下記のように開催いたします.どうぞご参加下さい.

講演題目

鉛直に加振した粒状体中の密度波の伝播とパターン形成

講師

佐野 理

(東京農工大学大学院物理システム工学科 複雑系工学講座 教授)

日時

平成23年9月16日(金) 16:30-18:00

場所

電気通信大学 東4号館 8階 AV会議室

概要

粒状体を容器に入れて鉛直方向に加振すると,ある臨界加振条件以上では層全体が撓む「撓み波(undulation)」や,表面付近での「さ ざ波(ripple)」が観測される.さらに詳しくみると,層内部では粒子間の圧密状態が空間的時間的に変動し,密度波となって伝播している ことが明らかになった.一般に,粒状体を容器に入れて加振すると(1) 無次元加振加速度が1を超えると粒子の自由飛行状態とパターン形成が始まる.(2) 粒状体を3層以上容器に入れて加振すると,適当な条件の下で粒子の落下と容器の上昇によるサンドイッチ状態が発生し,上下の粒子が互いの間隙に侵入するこ とによる水平方向の膨張が見られる.もし,容器の側壁位置が制限されていると,層の延びを解消するために,層全体が撓むundulation のタイプか,層の表面付近の粒子が上部に飛び出すrippleのタイプかのいずれかが引き起こされることになる.定常状態では,同じ振動振幅 や振動数であっても,粒子の上下運動と容器の加振の位相の違いにより"柔らかい衝突"が起こるときは前者が実現され,容器の振動の2倍の周期 で,また,”固い衝突”のときに後者が実現され,容器の振動の2倍, 4倍という周期でパターンが繰り返されている.(3) これらのパターンは時間変動を伴うので,単なる層の膨張に基づく釣り合いだけでは説明しきれない.そこで,個々の粒子の動きを観測したとこ ろ,undulationでは粒子の圧密の変動が層に沿って伝播するが,粒子そのものはほぼ釣り合いの位置付近に留まっている.他 方,rippleでは粒子の圧密状態が水平から傾いた方向に伝播し,表面付近では周期的に上向きの運動が卓越してさざ波が形成されること,な どが認められた.

懇話会では,前述のような観測事実をもとに,粒状体中での粒子のミクロな動きとマクロなパターンとの関係を探っていく.

参考文献

  1. O. Sano, Phys. Rev. E 72 (2005) 051302. (Link)
  2. O. Sano, AIP Proceedings 1227 (2010) 100. (Link)
  3. O. Sano, J. Phys. Soc. Jpn. 80 (2011) 034402. (Link)
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